【健康】記憶について:入院した時の話(その1)
一定期間のことが、どうしても思い出せないっていうことありませんか?
僕にはあります。そして、その時間だけが人生からすっぽりと抜け落ちているような、なんとも不安定な感じになっているんですよね。
これは、その時の話です。
塾講師のバイトの初日を終え、大学生の僕は夜の街を自転車に乗り、家に帰っていました。塾の場所は隣町、数年前まで僕が住んでいた街で土地勘はありました。
通常なら国道を通って帰れるのですが、その日は少し違う道を通ろうと思いつきました。
違う道、それは僕が子供の頃に住んでいた場所の近くを通る道です。なんとなく懐かしくなって。
昔よく歩いていた道を進み、やがてよく遊んだ河の堤防を越える道にさしかかりました。
そこで、ぷっつり記憶が途切れるんですよね。
寝ている時とは違います。時間の経過した感覚がないんです。死、とはこのようなものなのでしょうか?
救急車のサイレンの音が聞こえて気がつくと、僕はなぜか堤防の上に寝転がっていました。顔面を強く打っているようです。
やがて救急車が僕の近くに止まり、僕は救急車で国道沿いの病院へ運ばれました。
顔面骨折で、手術が必要とのこと。一か月くらい入院が必要でした。
それから、入院生活が始まるわけですが、僕はその間、事故の直前の記憶を思いだそうとしていました。
しかし、記憶はまるで戻ってきません。なぜ自転車から落ちたのか、自分ではさっぱり思い出せないんですよね。
後に、伯母さんが「狐にばかされたのでは?」と言っていました。人通りもなかったし、案外それが正解なのかもしれません。
それにしても、あのときのことはいまだに不思議でなりません。