【翻訳】野良翻訳:P.G.ウッドハウス著 THE MAKING OF MAC'S/Kちゃん(第15回)
わしくらいの年になると運命を信じるようになる、しかも運命はこのゲームで確かに一役買ったんだ。夜非番じゃなかったら、まあ、仕事で夜一時過ぎるまで家に帰らなかっただろう。でも、夜は非番だったから、わしは八時半過ぎに家へ戻ったんだ。
わしは十年以上ブルームズベリーにある寄宿舎に住み続けていたんだが、そこへ戻るとケイティからの手紙がドアの下に半分押し込められていた。
一言一句言って聞かせられるよ。こんな感じだ。
親愛なるビルおじさん、
これを読んでも心配しないで。誰のせいでもないけど、疲れてしまったの。だから全部終わらせようと思って。おじさんはいつも私に優しくしてくれたから、いまでも私の好きな人よ。アンディーには本当のことを知られたくない、だからおじさんには自然に起こったように見せかけてほしい。そうしてくれるかしら? とっても簡単なことよ。おじさんがこの手紙を読むまでにあることが起こって終わる、そしたらここへ来て窓を開けてガスを外へ出してくれれば、みんなは私が自然に死んだと思うわ。簡単なことよ。入ってこれるようにドアを開けておくわ。私はおじさんのすぐ上の部屋にいる。昨日そこを取ったの、おじさんの近くにいられるようにね。さようなら、ビルおじさん。やってくれるわよね? アンディーには本当のことを知られたくないの。
ケイティ
こう書いてあったよ、旦那、わしは読んで仰天したな。それから、新しい考えのようなものが浮かんできた、すぐにできる限りのことをしようってな、すぐに階段を駆け上がったさ。
そこにケイティはいた、ベッドの上に、目を閉じて。ガスは広がり始めていた。
わしが中に入ると、ケイティは飛び起きた、それから立ち上がってわしを見た。わしはガス栓のところへ行き、空気を外に出して、ケイティを見た。
「さてと」とわしは言った。
「どうやってここに来たの?」
「そんなことは気にするな。自分に言うことはないのかい?」
ケイティは泣き出した。子供の時分にいじめられた時みたいにな。
(後記)
大変なことになりましたね。
しかし、ヘンリーの部屋の上で自殺未遂とは、ある程度見つけてもらうことを期待していたのではと疑ってしまいます。