翻訳
いつもこういう危険があるんだ、旦那、アンディーみたいなタイプは自分のやり方で真っ直ぐ進んで、やっちまうんだな。問題が自分の身に起こる、しかもいっぺんに。時々思うんだが、人生にはいずれにせよ災難が降りかかるが、それがすこしずつ起こって、いわ…
「さあ」とわしは言った、「ここから出よう、息が出来る所へ行くんだ。そんなにしょい込むんじゃない。一緒に来てみんなわしに話してごらん」 ケイティはわしのいる方へと歩き始めて、とつぜんよろけるのが見えた。それでわしは手を取ってわしの部屋へと連れ…
わしくらいの年になると運命を信じるようになる、しかも運命はこのゲームで確かに一役買ったんだ。夜非番じゃなかったら、まあ、仕事で夜一時過ぎるまで家に帰らなかっただろう。でも、夜は非番だったから、わしは八時半過ぎに家へ戻ったんだ。 わしは十年以…
だがケイティは違った。やって来なかった。近づかなかったんだな。そりゃそうさ、アンディーがあんなことをしたんだから。わしはそれについて奴に話したかったんだが、奴にだけはそんなことを話しちゃいけない感じだった。 ある日元気づけてやろうとして、「…
ケイティは言い返さず、テーブルへ戻った。 でもその出来事は、言うなれば、そこで終わりじゃなかった。一緒に来ていた連中は、踊りの間に起こったことを見るやいなや、席を蹴り上げ始めた。1インチ4分の1くらいある額と同じくらいのあごの長さを持った若…
日が経つにつれ、わしはアンディーの若造が腹に据えかねてきた。奴はディナーが急にはやったどんな奴よりもうけていた。しかもケイティがいなかったらそんなにははやらなかったことを、よくわかっていた。考えればわかるだろうが、人間誰でもそのことに感謝…
1.「ジーヴス」シリーズとは 英国のユーモア小説の大家、P.G.ウッドハウスの最も人気のある小説シリーズです。 思慮の浅い主人ウースター氏と、有能な従僕ジーヴスの掛け合いが持ち味ですね。 日本でも、このシリーズは有名で、森村たまきさんの翻訳を…
旦那もたぶんロンドンについちゃわかってるだろうが、男女の集まりはみんな足を色んなレストランに向けるもんさ。一月くらいはみんなある所にいたかと思うと、翌月には別の店へ行く。だれかが新しい場所を見つけたといって推す声をあげ始めれば、みんなそこ…
誰のことかはわからなかったが、全員が笑った。それからいつものように料理をほめているのが聞こえた。間違いないさ、ジュールズは腕に絶対の自信をもっていたからな。フランス人ってのはみんな、芸術家気質さ。わしらが仲間になると言ってやった時には、ま…
やっぱりすぐ後でアンディーが後ろから顔を出した。ケイティは奴を見て、奴もケイティを見た。アンディーの顔が少し険しくなったようだが、何も言わなかった。すぐにまた姿を消したよ。 ケイティが深いため息をつくのが聞こえた。 「あの人は元気そうね、ビ…
当時は大体マックファーランドの店じゃ夕食メニューをそんなにたくさん出していなかったんだが、もちろん店を開けてはいた、ソーホーの人間が寝る前に突然チーズトーストを食べたくなるかもしれないからな。だからみんな準備をしていた、夜11時半を過ぎて…
ケイティはまるでもう耐えきれないかのように、急に怒り出した。「行きますとも」ケイティは叫んだ。「どういうことかわかるか?」「どういうことよ?」「終わりさー全部」 ケイティはぶたれたかのように少しまばたきすると、グッと顔を上げた。「いいわ」ケ…
「私はー私は舞台に立つの」 わしは夕刊を下ろした。どういう意味だ? 聞いたか? もちろん聞いたとも。わしをだれだと思っている? 座っている所からアンディーの顔が見えた、で、問題になるだろうなということがすぐに見てとれた。そのあごははずれんばか…
「なるようにしかならんさ」とわしは言ってやった。「たぶん、これが一番いいんだ。お前をたばこに誘うようなオックスフォードの悪ガキ共といるよりは、ここにいるほうがたぶんいいんだよ」「僕のことより仕事のことを考えるなら、ヘンリー」とあの子は言っ…
ケイティは踊ることが大好きだった。そのことは後になるまで誰も知らなかったが、この間ずっと、そういった学校の一つに通う正式な生徒だったことがわかった。あの娘はそこへ午後に通っていたんだが、みんなは女友達のところへ行っているんだと思っていた。…
そうだな、わしとジュールズが加わって、マックファーランドの店はーそのころはマックじゃなかったー動き出したんだ。マックファーランド老大は、人を見る目を持っていて、いつもわしのことを自分の兄弟以上によくしてくれたんだが、わしにこう言ってたよ、…
マックファーランドご老大(ヘンリーが言うには)は15年前にその場所で店を始めた。男やもめで、息子が一人と、半分娘と呼んでいいような子がいた。つまり、養女がいたんだ。ケイティという名前で、亡くなった友達の子供だった。息子の名前はアンディ。初…
マックのレストランはー誰もマックファーランドのなんて言わないー不思議だ。普通じゃない。今どきじゃない。宣伝もしない。オーケストラよりもピアノソロに近い、でも、そんなことにもかかわらず、繁盛している。うらやましくて、立派な夕食レストランが軒…
P.G.ウッドハウスの著作に... ユーモア小説の大家、P.G.ウッドハウスの翻訳された選集を読んで感銘を受けた僕は、他に著作はないかとネットで色々と探していました。 そしたら、著作一覧のページが出てきたんですよね。 P・G・ウッドハウス(Pelham…
なるべくお金をかけずに翻訳のトレーニングをするには、どうしたらいいのでしょうか? またおなじみのネット検索を駆使して、そういう内容の記事をさがして読みました。 それは、「翻訳コンテスト」に応募することでした! ええ、自分の翻訳に対する添削はあ…
ここからは、色々と選択肢があると思いますので、僕の場合を中心に述べていきます。 1.コミュニティーセンター講座の見つけ方 さて、翻訳の専門学校を自主卒業した僕は、文芸・出版翻訳を学ぶべく、ネット検索をしていました。 まず、文芸翻訳検定というの…
1.まずはネット・雑誌を調べよう! 翻訳に興味が出て、翻訳を学ぼうと思ったら、まずは翻訳の専門学校に通ってみることをおすすめします。 「えっ、いきなり?」 はい。よほど自分の実力に自信のある方は別ですが、やはり最初は専門家に教えてもらったほう…